★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.185

五月です。鯉のぼりの季節です。
先日、“道の駅南清里”に鯉のぼりを見に行きました(写真貼付)。

連休が明け、白州では田圃に水が張られ、いよいよ田植えが始まります。
透明感に溢れたこの日常の光景がこころを癒してくれます。(写真貼付)

4月の銀座のギャラリーでの展覧会には多くの友人知人が観に来て下さいました。
感謝申し上げます。

では《Ryuの目・Ⅱ−no.185》をお楽しみ下さい。


◆今月の風 : 話題の提供は空閑重則さんです。

以前住んでいた北京のアパートの近くにナツメパンの店がある。
2011年に初めて行ったとき、常用スーパーの隣なのですぐ眼についたが、とにかく常時屋外の行列なのである。昼間でも零度前後という北京の冬に5m(20分待ち)程度の行列ができている。好奇心を抑えきれず買ってみると、なかなか旨い。そして安い。
一斤10元(500g170円)だが「一斤買うと半斤おまけ」なので1斤120円弱である。味はというと、程よい甘さと埋めこんだ干し棗の香りがくせになる。

2016年の秋、その列がやたらに長い日が続いた(50mくらい)。不思議に思っていたら数日後に閉店してしまった。貼紙を見ると「当店は**月**日をもって閉店します。近いうちに近所で再開します」とあるが期日は書いてない。長い行列は、最後のチャンス・お別れ買い ということだったらしい。
その後数度北京を訪れたが再開の様子がない、と思っていたら2017年のある時大きなビルの中にある常用スーパー(2階と3階)でナツメパンの匂いがする。
店員に「いい匂いがするね」と聞くと「下の階から流れて来るんだよ」。なるほど、同じビル1階の奥まった場所に再開して、やはり行列ができている。これなら冬の行列もつらくない。めでたしめでたし。

1年余り経って再訪した。味は変わっていないが、行列はほとんどない。
客にとってはありがたいが、これでは売上げが相当減っているのでは、と不安になった。気になるのは、これは「常時行列」の宣伝効果がなくなったせいなのではないか、ということだ。 群集心理と口コミの効能を考えさせられる事象である。(終り)



◆今月の隆眼−古磯隆生
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− 移住生活・その33 −

5月の連休も明け、野菜作りの始まりです。昨年に比べて気温も高いようで、植え付けには良いようです。今年から畑の広さがこれまでの倍以上に拡がり、いささかもてあまし気味ではありますが、畑のデザインも兼ねて楽しみたいところです。
さて、春を迎え例年通り野菜作りの準備に取りかかりました。3月の上野での行動TOKYO展、4月の銀座でのグループ展を終え、次の冬に備えての薪作りも済まし、とりあえずひと区切りがつきました。しばしの気分転換を兼ねて野菜作りにいそしみます。

4月。まずは連休明けからの畑の植え付けに備えて長ネギの苗作りにとりかかりました。プランターで作るのですが、昨年の秋に試みた長ネギとタマネギの残った苗が少しあり、再利用を考えていますが、長さ7,8cm位の苗ではネギなのかタマネギなのか私には見分けがつきません。とりあえず植えてみることにしました。
昨秋植え、越冬したタマネギの生育が今年は順調のようで、初めてのことです。これまで悪戦苦闘でなかなかそれなりのサイズにならなかったのですが、テニス仲間から勧められた追肥が効いたのでしょうか。どんなサイズのタマネギになるか収穫が楽しみです。
今年の苗の植え付けはだいたい例年通りで、ジャガイモ、サトイモ、生姜に始まり、トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、ゴーヤ、カボチャ、サツマイモと言ったところで、種物としては人参、花オクラ、小松菜、パクチ、インゲン、オクラ、ルッコラ、枝豆、ラディッシュ等です。今年はスイカにも挑戦してみます。

この時期山菜も楽しみのひとつです。早春、まずはお隣の許可を得て蕗の薹採りをしました。冬枯れの雑草類に埋もれて蕗の薹が育っています。半分土の中に埋もれた直径3,4cm程の蕗の薹を採り、天麩羅にして食べました。この香りが何ともいい。気持ち贅沢!
ミョウガ、ウドも採れます。
5月になると我が家から歩いて3,4分のところにあるお店で毎年山菜料理を楽しむことができます。10種類ほどの山菜を堪能します。これも移住生活の楽しいところ。
自然の恵みに感謝です。



◆今月の山中事情145回−榎本久・宇ぜん亭主

−冷蔵庫−

仕事と言うにはおこがましいほど実体はなきに等しいのだが、肩書きはまだ自営業者である。ある日、冷蔵庫の調子が悪くなったので業者に見てもらった。
冷蔵庫はすでに十年が経っている。耐用年数は充分過ぎてはいたが、大幅なオーバーでもない。まだ使用は可能と思った。フロンガス内蔵の古いタイプの冷蔵庫ゆえ下取り価格は〇円で、調子の悪いところは冷却機だった。冷蔵庫の心臓部だ。冷凍庫用もついているので二台分だ。応急処置の修理でも一台三十万円かかると言う。冷凍庫の方も近い将来調子が悪くなるとの見方だ。二台分六十万円は痛いのだが、それ以上に心配なのは、夏場に急に止まったら材料が皆パーになる。決断をせまられた。
営業担当の彼は二十代の青年。人生がいっぱいある彼は私にまず年齢を聞いた。たたみかけるように、あと何年仕事をするつもりかと聞く。冷蔵庫のことばかり気をとられ、私はその質問で我に返った。仕事をあと何年やるかなどと言うことはこれまで考えていなかったからだ。普段は、古希だ、七十だと年寄りぶっていたが、仕事をしている時の気概は三十、四十のままでいたからだ。七十を超えた私は彼にそう投げかけられ即座に答える年数を用意していなかった。
悲しいかな、若い彼の質問に未来を語ることは出来ず、空を見ていた。にわかに人生の終わりのところに居ることを気づかされ、唇を噛んだ。定年のない仕事とは言え、そろそろそのことも考えたらと言われたようで、若い彼を羨ましく思った。だがどうしてもまだ辞める気は起きず、それに反発した。

少子高齢化が言われて久しいが、今将にそのようにせまって来ている。私を含めいよいよ実感させられているのだ。市報に人口推移が毎月書かれているが、前月比は常にマイナスだ。それに伴い、本来ならば営業の望みなど不可能なのだが、究極、たった一人の為にやり続けることとて選択肢に入れることでも良いような気がして継続を選んだ。
寿司店を営む友人がいる。彼は九〇まで板場に立つと明言する。その意気込みに触発されてもう少し続けようと我が身にも語りかけた。
最新式の冷蔵庫が鎮座した。節電タイプと言われていたので翌月の電気料を見たら前月の半分になっていた。音も静かで、深夜に止まる心配がなくなったことでゆっくり寝ることが出来ている。
数年のローンを抱えることになり、これまで無借金経営が自慢だったが、このことは我が身にプレッシャーをかける意味でも必要かとも思う。

宇ぜんホームページ
  http://www012.upp.so-net.ne.jp/mtd/uzen/


◆Ryu ギャラリー
 今月の一枚は、4月に銀座のギャラリーでのグループ展に出品した作品で
 「大地の目覚め/位相・春」です。
  サイズはP100号(112cm×162cm)です。
  (パステル+アクリル絵の具)
  お楽しみ下さい(写真貼付)。