★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.191

すかり秋になりました。今日は秋らしい天候です(写真貼付)。

故郷、山口県宇部市での個展もお陰様で盛況の内に終えることができました。
様々にお手伝いくださった皆様に感謝申し上げます。
この個展の顛末は今回と次回の2回に分けて「今月の隆眼」で報告させて頂きます。

では《Ryuの目・Ⅱ−no.191》をお楽しみ下さい。


◆今月の風 : 今月はお休みにさせて頂きます。



◆今月の隆眼−古磯隆生
http://www.jade.dti.ne.jp/~vivant
http://www.architect-w.com/data/15365/
   Ryuの目ライブラリー:http://d.hatena.ne.jp/vivant/

− 故郷個展顛末記・その1 −

10月26日から11月1日まで、生まれ故郷の山口県宇部市で3回目の個展を開きました。会場は1、2回目と同じギャラリーです。なかなか落ち着いた雰囲気の広いギャラリーで、ちょっとした美術館と言った感じです。
ギャラリーの一角には座敷が用意され、庭(和風)も設けられています。
ここにはお茶出しするサービスカウンターも用意されていて、観賞後に座敷で一服できるよう設えてあります。(写真貼付)

秋の行動展が10月1日に終わり、個展に向けて制作の追い込みといった時期に体調不良と所用が重なり、白州出発前の一週間に何とか予定の作品数を仕上げるといったドタバタもありましたが何とか間に合わせることが出来ました。用意した作品は45点程で、150号1点、100号2点、50号1点、30号1点、20号2点、4〜10号の小品を38点。その内の30点を展示し、途中で差し替える事を念頭に準備しました。
小品は3分の2を開催の2週間ほど前に宇部の画材屋さんに送って額入れしてもらい、150号と100号は運送屋さんに依頼し、その他は車に積んで宇部に向かいました。これまでは大きな作品はクロネコのヤマト便で送ることが出来ましたが、今年からこのヤマト便がサイズ制限(縦*横*高さの三辺合計が2mまで)を設けるようになり、大きな作品を送ることが出来なくなりました。
絵を描かれてる方は皆さんお困りと思われます。山梨から山口まで送ってくれる運送会社を何とかみつけましたが、送料は以前に比べて倍ほど。この運送会社は支店毎の対応がマチマチで、個展が終わって送り返す段になって問題が起きることになりました。

10月24日の早朝3時半に我が家を車で出発。この日は平日なので高速割引を利用するには深夜割引(3割引)しかなく、朝4時までに高速道路に入らねばなりません。長距離の高速利用ではこの3割引は大きいので早朝出発となりました。我が家から15分ほどの所に小淵沢ICがあり、ここから高速道路に入ります。
白州から宇部まで凡そ860km、中央自動車道東名高速道路名神高速道路→中国自動車道→山陽自動車道で向かいます。途中の休憩を入れて凡そ13時間(ネット10時間)のドライブです。家内と三女の三人で、1時間半毎に運転を交代しながらの道中です。
我が家を出発時は雨で肌寒い天気。車の上に載せた50号と30号の作品はシートで包んであるとは言えいささか心配。太平洋側に近づくと天気も回復し、ドライブは順調に進みました。広島県の宮島SAで1時間ほど最後の休憩をして16時半に逗留先である同級生のゲストハウスへ無事到着。高速道路は一般道と違ってそれぞれの地域の面白さがあまり感じられないので楽しみが少ないのですが、長距離なので致し方ないところ。
到着した日から心温まる宴席が始まりました。と同時に、私にはアルコールの種類と酒量の制御という“苦行”の始まりでもありました。と言いますのも、9月の行動展の時、観に来てもらった友人達と調子に乗って四連ちゃんの呑み会を続けた結果、飲み過ぎてしまい、体調を崩すという情けない事態を招いてしまったからです。反省!
この展覧会でも連日の宴会が想定されます。

10月25日。さあ搬入と展示作業です。9時半前に展示会場のギャラリーに到着しました。ギャラリーのオーナーが再会を笑顔で迎えてくれました。運送会社に依頼した大きな作品は前日に届いており、程なく画材屋さんから額に入った小作品も届き、10時には展示を手伝って貰える高校の美術部の先輩や同級生も揃い、荷解きから作業開始。小作品を持参した絵と数点入れ替え、レイアウト開始。
まず、大きな作品のレイアウトから始めました。事前に大きな作品のレイアウトは想定していましたので、それで良いかの確認をし、続いて小作品25点のレイアウトに入りました。これまでの経験を生かし、隣り合う色がお互いに引き立つように小品の入れ換え作業を何度も繰り返します。その間に大きな作品の飾り付けが順調に進みます。3回目ともなると皆さん手際がいい。作品のレイアウトを決めるとどんどん飾り付けが進み2時には30点のレイアウト完了。
なかなかいい感じだ。
絵の飾り付けの目処が立ったので受付の記帳用紙の準備や掲示ボックスのポスター飾りに取りかかりました。1点だけ作成持参したA-2サイズの大きなポスターを飾り付けようとして、とんでもないことに気づきました。
“ポスターの絵が上下逆さま!!!”
いやー、我ながら愕然。何を焦ったのか、自分でも全く気づかないでやってしまいました。困ったなと思い先輩(デザイナー)に相談したところ、一応予備として絵の部分だけを持参しておいたので、その部分だけ貼り替えて明朝の開館までに届けてあげようと神の助け。ホッ!!
とんだハプニングでした。午後になって、友人達からお祝いの花が届き、気分も盛り上がってきました。
夜は手伝ってもらった人達とご苦労さん会と前夜祭の宴。
さあ、いよいよ明日から始まりだ!
つづく。

◆今月の山中事情151回−榎本久・宇ぜん亭主

−聞こえぬ生活音−

戸建ての多いこの田舎でさえ近所の台所の音が聞こえて来ない。俎(まないた)を叩く包丁の音が聞こえて来るのは商売屋からであり、近所の家からの音がしないのである。キッチンの配置の違いや、労働の仕方が変わり、夕食時が他と同じとは限らなくなったり、スーパー等でおかずを買って、作るのを省いている家庭が多くなったからなどであろう。
かつてはその家の夕食がわかったものだ。いろいろのにおいが外に洩れ、「ここの家は今日はカレーだ」「この家はさんまか」と歩きながらわかったものだが、田舎と言えどもそれがしないのである。立派な構えの家には高齢の夫婦だけというお宅もあり、宅配という手で済ましている。手助けと言ってしまえばそれまでだが、老人ターゲットビジネスとしてデパート、スーパー、コンビニの惣菜売場は盛況で、その役目を果たしていると言わんばかりに大いに売り上げに寄与し、「母の味」になってしまっている。もちろん食育を重視し手を抜かず、三度三度きちっと自家製のお宅もあることは知っている。
男女が機会均等に働ける(働かされている?)時代になって、皆が忙しくしている。収入をより多く得るため台所のことはいの一番に省かれた。私にとっては皿の触れ合う音、蛇口をひねる音、スプーンの落ちる音など隣家から聞こえる生活音が郷愁となってこみ上げて来るものがあるものだったが、そんなことを口にすると全く別の解釈をされ、暮らしにくい世となった。
便利になった世の中は、お湯をそそげば有名店のスープが即座にいただける。あらゆるレパートリーの料理が二、三分で食卓を賑やかにすることが出来る世だ。会社を出る前にスマホに触れれば、クーラーが室内を快適な環境にしておいてくれる。お風呂も沸けば、洗濯物だってたたまれている。もちろん部屋の掃除もしてある。この暮らしが満足な人はそれはそれで幸福であろう。その反対にいる人はこういうことで良いのかと思っている。便利に馴れた人は不便を嫌い、百年、二百年前の生活を望む人もいる。
時はあたかも明治百五十年とか。その時も世の中が文明開化だとひっくり返っていたのか?
私はと言えば、相変わらず鍋のフタを落としたり、皿や茶碗をぶつけて生活音を出している。ただし、郷愁を感じてくれる人は居るか?

宇ぜんホームページ
  http://www012.upp.so-net.ne.jp/mtd/uzen/


◆Ryu ギャラリー

 今月の一枚は個展に出した作品で「煌」です。
  サイズはB4(36.4×25.7cm)です。
  (アクリル絵の具)
  お楽しみ下さい(写真貼付)。