★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.57

遅かった梅雨明けは酷暑をもたらし、’まいった!’とギブアップ宣言寸前で秋っぽくなりました。
しかし、台風一過、また暑さが戻ってきたようでまだまだ残暑を感じさせます。

では《Ryuの目・Ⅱ−no.57》をお楽しみ下さい。


◆今月の風 : 話題の提供は前回に続いて戸倉信枝さんの「 壮麗なるロシア美と至宝めぐり8日間(6/21〜28)」の旅」の2回目です。


6月24日−モスクワ 赤の広場へ−

赤い(クラスナヤ)は、「美しい」という古語から意味が変化してきたもので、共産党のシンボル色から来たものではないという。広場にはグム百貨店(レーニンの命によって開設された国立百貨店で建物が美しい)(写真)。高級ブランド店や、他の品物も高価だと聞き、建物内の吹き抜けを見ただけで斜めに通過した。夜はボリショイサーカスへ。まず冷房が効き過ぎていて寒かった!人間を木の葉のようにクルクルと飛ばしながら肩の上に4層に積み重ねていく芸と虎の猛獣ショーはさすが見せてくれた。モスクワはホテル コスモス。1500室の客室を有するホテルの20階に宿泊。このホテルからの眺望も素晴らしく、どこまでも平らな大地が広がっていた。

この日の見学先
レーニン廟:
 赤褐色の花崗岩の廟でレーニンの遺体が地下に安置してある。モスクワ
 に到着したのが午後だったので、レーニンの遺体を見る事が出来る
 時間はもうとっくに過ぎていた。
・聖ワシリ−寺院:
 絵葉書などでよく見る9つの異なった色と模様を持つネギ坊主形ドーム
 が特徴のカラフルな建物(写真)。これにもまた暗い話がある。雷帝(イ
 ワン4世)の命で完成したがあまりの美しさに感動した雷帝が2度と同
 じような建物が造れないようにと2人の設計者の目をくり抜いたという
 逸話があるという。
  ロシア独特のPRなのだろうか。


25日−セルギエフ。ポサード(モスクワから北北東に70km)世界遺産

ここでも写真を撮る人は、100ルーブル(500円)でチケットを買い撮影許可を受けて撮る。

午前中の見学先
・トロイツエ セルギエフ大修道院:16世紀に築かれた城壁に囲まれてい
 た。
・金色の大きなドームの周りに空色の4つのタマネギ頭ドームのウスペン
 スキー大聖堂。クレムリンのそれを模したものという。
・トロイツキー聖堂:彼の墓所の上に建てられた聖堂。アンドレイ・ルブ
 リョフのイコンがある。
・精霊降誕教会:
  塔の下が鐘楼、上が物見台という特異建築。黒い修道服に身を包んだ
 長身のハンサム神学生が案内をしてくれたが、1人参加の若い女性は彼
 とツーショットで記念撮影をしていた。若い人たちは素直でいいなあ〜!


午後はクレムリン(ロシア語で「城塞」の意味)へ。(世界遺産
西側の入口のトロイツカヤ塔に向けて歩き始めた途端、急にポツポツと降り始めたと思う間もなく凄いスコール!傘をさしてはいるもののズボンはビショ濡れ状態で、クレムリンの中に走り込んだ。観光を始めてから気が付いたが、日本と違って湿度がないからすぐにズボンは乾いていた。銀色に輝くクレムリン大会宮殿は雰囲気が違うという事で、来年には取り壊しをして建て直しをするという。まだ建てられて半世紀経っていないのにこの有様で、大理石は再利用はするという。市内の建造物においてもしかり、周りの景観にマッチしていなければ完成しても取り壊しだという。兵器庫の横に大砲(写真)。イワン大帝の鐘楼(写真)ウスベンスキー大聖堂(写真)。武器庫(ロシアの歴史博物館)。王冠の数々やきらびやかな衣装。金銀の器など贅を尽くしたその品々に栄華の時代を重ねてみた。
帰途にバスは民芸店に立ち寄った。ここでグジェリ(白地に群青色で花や鳥などの模様をつけた陶器)のスプーンを友人へのお土産としてKさんと一緒で買った。
ホテルの売店で320ルーブルのマトリューシカ(民芸品の木製人形)を買った(1600円)。外側だけを見て買ったので3個だけは同じだったが、その中の2個は色も洋服も違っていた。大きい物は、数万円もして20数個ものマトリューシカが入っている物もある。


◆今月の隆眼−古磯隆生

ル・コルビュジェ展−

ル・コルビュジェ(1887-1965)”という名前を聞かれたことがありますか?恐らく20世紀に入って近代建築をリードした最大の建築家と思われますが、建築、都市計画、家具、絵画に時間を貫く数々の作品を創り出しました。日本では東京上野にある国立西洋美術館が彼の作品で、日本の建築界にも多大の影響を与え、現代日本の建築は彼の影響無しには考えられないと思われます。
今、六本木ヒルズにある森美術館で「ル・コルビュジェ展(9月24日まで)」が催されています。代表作となった建築や都市計画の模型や図面(オリジナル)、写真、映像そして家具、更に画家として活動した絵画・彫刻が展示されています。特に面白いのは原寸大の空間の再現です。代表作の一つであるマルセイユの集合住宅<ユニテ・ハビタシオン>のメゾネットタイプ住居(2階建て形式の住居タイプ)、彼の終の棲家となったカップ・マルタンの休暇小屋(2間四方)、絵画制作をしたパリのアトリエの三つが再現されていますが、メゾネットタイプ住居と休暇小屋は実際に中に入ってル・コルビュジェの空間を体験でき、専門家ならずともとても面白いと思います。
思想あるいは理念をもって取り組んだ数々の作品からは、現代社会(建築)からは遠く離れていった“健全さ”を感じ取ることの出来ますし、今一度、原点を見つめ直すようメッセージされてるように思えます。近年稀に見るなかなか充実した建築展で、専門家だけでなく一般の方にもとても刺激を与えてくれるものだと思います。私が行った時は学生らしき若い人が多く来ていました。都合のつく方は是非行ってご覧になってください。
http://www.mori.art.museum/contents/lc/index.html




◆今月の山中事情24−榎本久(飯能・宇ぜん亭主)

「綺麗な花にはトゲがある」との諺がある。花にたとえての人間社会のことを指しているが、多くは男女間のことだ。ところが「綺麗な花」には虫達も関心のあるところであって、蜜を求めたり、花粉を背負いにやってくる。
ある朝、庭の通路に「綺麗な花」が育ち過ぎていたのだが、そのままにしていた。その花に私の左ヒジが触れた。瞬間、激痛が走った。「蜂に刺されたな」と思ったが、そこに蜂が居るとは思いもせず、事実飛んで行った気配もなかった。蜂にしてみれば「綺麗な花の蜜」を吸っている時、無粋な初老の男に邪魔にされたことに腹が立ち、攻撃をしたのだ。瞬時のことで蜂の種類は解らなかった。「綺麗な花」を少し刈り取っておけば良かったが、その管理もせず放置し、蜂を責めるわけには行かない。
さて翌日の私の左腕は丸太のように腫れ上がっていた。「虫刺され用塗り薬」を塗った程度では治らなかった。虫に詳しいお客様曰く。私の腫れた腕を見て、「それはクマ蜂でしょう。クマ蜂は肉食で、密を求めてやって来る他の蜂や虫を捕食する為、花を探しながら飛び回っている蜂だ」と教えてくれた。大変興味深い話であったが、痛い目に遭った私はそれどころではなかった。田舎人になることは仲々大変だ。しかし世の男性よ、田舎もそうだが都会にはもっと凄い「綺麗な花」があるゆえ、お近づきの際は中にいる「恐ろしい虫」にもご注意あれ!腕の腫れぐらいでは済まされませんぞ。
「花であって花にあらず」です。