★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.19

◆今月の風 : 話題の提供はご自身で紹介の坪谷敏郎さんです。

−おじさんのひとりごと−

 私は、坪谷敏郎(つぼやとしお)と申します。古磯さんとはもう長いお付き合いになってしまいましたが、ようするに「飲み仲間」です。飲み仲間なのだから、飲んでいればよいのかと思ったら、先日「原稿を書け」とのご依頼。「何について書くの?」と尋ねたところ、「何でもいい」という答えでした。この「何でもいい」というのがくせ者で、一体何を書いていいのか皆目見当がつきません。そこで、最近感じたこと、経験したことをあれこれ書かせていただきたいと思います。

「植草先生について」
今にして思うと、あの顔には思い当たるフシがありました。しかし、何も手鏡をもってエスカレーターに乗る、しかも何回も繰り返すなんてことをしなくったって良さそうなものですよね。他人事ながら、心配なのはあの人はこれからどうやって生きていくんでしょうかね?そのうち、ほとぼりが冷めた頃、「日本経済を手鏡で見る」とか「手鏡経済相談」とかの本を書いて、見事に復活することを祈ります。しかし、この間私にも似たような経験がありました。JRの三鷹駅の階段を歩いていたら、私の前にミニスカートの女子高校生が歩いています。しかし、あのスカートの短さはそれ自体が犯罪です。何とかならないものでしょうか(何とかなっても困りますが…)?私は思わず、「ウフフ」と思いましたが、その心を見透かしたように、駅員さんが「みたか〜?」と言いました。

「奥さんの呼び方」
皆さんは、配偶者(妻または夫)をふだんどうやって呼びますか?「名前で呼ぶ」「あなた」とか「ダーリン」と呼ぶという人もいるでしょうが、私どもの世代で最も多いのは「おい」または「ちょっと」とかのあいまいな呼び方ではないでしょうか?ウチは子供が生まれた頃、妻を「おかあさん」と呼ぶことにしたらどうかと提言したのですが、妻はそれでは自分のことを子供の母親としてしか見ていないようでイヤとのたまうのもですから、結局「おい」と呼んでいます。この間、新宿を歩いていたら、私の前を妻が歩いています。何か買い物でもしたのか、両手に荷物をたくさん持っています。私は彼女を呼び止めようと思い、ついいつもの呼び方で「おい」と声を掛けました。ところが、私の前を歩いていたおばさん方(失礼)が一斉に私の方を振り返りました。皆さんも家では「おい」と呼ばれているので
しょうかね?

「電車のマナー」
最近電車に乗ると、よく社内放送で「携帯電話で話をしないでください」と言っています。携帯電話の話し声は確かに迷惑なのですが、電車の中では話し声がまったく聞こえないのかというと、そんなことはないわけで、電話の声と車中の話し声は何が違うのでしょうか?これは相手が見えているかどうかの違いでしょう。その意味では、携帯電話の話し声は「ひとりごと」を言っているのと同じで、やはり聞いている人にとって違和感があるのはやむを得ないと思います。ただ、私にとって携帯電話以上に気になるのは車中でのお化粧です。なにも混んでいる電車の中で鏡を見てお化粧をしなくても良さそうなものです。あれって、間違えて口紅をはみ出して塗ってしまうことはないのでしょうか?他人事ながら気になります。
それにしても、最近の社内のマナーは悪くなっているような気がします。お年寄りに席を譲らない若者も増えました。先日、ウチの妻と電車に乗ったら、彼女は疲れていたらしく、席に座ろうとしました。目の前の席に少しスペースがあったので、彼女は「すみませんが、少し詰めてください」と言って、座りました。しかし、よく見るとそこは7人掛けの席だったのですが、彼女が座って8人掛けになっていました。

「ボケ」
先日私の知り合いで会社の社長をやっている75歳の方が骨折し、全身麻酔で手術をしたことがよくなかったのか、その後ボケの症状が出てしまいました。家族の方に聞いたら、最近はテレビのリモコンを携帯電話だと思って一生懸命にリモコンを耳に当ててしゃべっているこということでした。その話をウチの家族にしたところ、ウチの子供曰く、「それはよくある話。おかあさんだって、ときどき携帯電話でテレビのチャンネルを変えようとしている。」自分は絶対にボケられないと思いました。

「髪の毛」
寄る年波か、私の髪の毛は相当薄くなってきており、最近の心配事のひとつです。先日、ウチの事務所のコピー用紙がなくなったため、職員が「カミがありません」と言ったとたん、私は思わず自分の頭を押さえたほどです。最近腹が立つのは、白髪染めの宣伝です。「白髪でお悩みの方は○○を!」とか言っていますが、白髪なんて悩みじゃない!白髪だって髪の毛じゃないか!髪の毛の色なんか何だっていい!何だったら黄色でもピンクでもあればいいんだ!としきりに腹を立てる今日この頃です。
坪 谷 敏 郎
 


◆今月の隆眼−古磯隆生


『プランニング』

 先日、友人と大学時代からお世話になっていた師と久し振りに会食をしたのですが、そのときの師から弟子への一言がとても印象に残りましたので、プランニング(設計)とは何かの説明を兼ねてお話ししたいと思います。友人がその先生にお目にかかったのはかれこれ20年ぶりらしいのですが、ゆっくり話が出来たのは大学卒業以来初めてと言ってました。宴も半ばにさしかかったとき、友人はこれまでに自分で設計した建物の写真集を師に見てくださいと差し出しました。その冊子をしばらくめくってから師は友人に一言「プランはどこにある?」。この場合のプランは平面図のことを指すのですが、この一言はほろ酔い加減になっていた私たちを瞬時に‘蘇生’させました。
建築の設計に携わる者にとってプランはその人間がどの様な建築空間をそこに創り出そうとしたかを見極める大変重要な表現手段です。例えば住宅を例にとってみますと、建築家は住宅の間取りを考えるのではありません。敷地のあるその場所でどの様な住まう空間が成り立つか、新たに生じる周辺との関係をどの様に展開すべきか、街並みに対してどの様に応答すべきか等を模索します。クライアントからの要望はその中に組み込まれていきます。プランを通してこのような問題への答えを見ようと言うわけですから、建築写真では掴まえきれない、その建築の核心部分が読みとれる訳です。
 宴も終わり、友人と二人で場所を換え、夜が更けるまでこの一言について語り合いました。数十年ぶりに会った師から設計者としての心構えの原点を指摘され、厳しくも心地よい師弟の時間を過ごした一夜でした。

◆今月の味覚−榎本久(羽前亭主)

「冬瓜(とうがん)」

 家庭で最も調理が嫌な野菜の一つがこの冬瓜のようです。その嫌われる理由としては、その図体にあるようです。ラグビーボールの親分みたいな形を“切る”という作業から始まるわけで、家庭では大きな俎板(まないた)、大きな包丁が揃っていないと確かに無理からぬ事であります。当店ではこの季節になりますと当然のごとく夏の一品として提供させて頂いていますが、随分と冬瓜をご存じない方がいらっしゃいまして、「冬瓜でございます」と申し上げますと「初めて食べた」と仰る方が多いのでございます。
八百屋さんやスーパーでは1/8くらいまでカットして売っておりますが、よほど好きな方しかお求めにならないようです。ここでも若い方は先ず面倒が先に立って駄目なようですね。今日は簡単な冬瓜の食べ方を書いておきます。
先ず冬瓜をお求めになりましたら(なるべく濃い緑色の冬瓜がよろしいと思います)スイカの皮のようになっている光っている部分を皮むきか包丁で取ってください。この光る薄皮がけっこう食感を邪魔にしてしまうのできれいにとって下さい。すぐ下の緑色の果肉は残してください。白い肌が見えたら取りすぎです。3㎝の巾に取り分けて1.5㎝位の薄さに切ってください。その後塩をふって、熱湯でしっかり湯がいてください。別の鍋にコンソメスープをちょっと濃いめに作って置きます。キノコ類(なんでも可)も湯がいて置きます。しっかり水切りした冬瓜とキノコ類をコンソメスープに入れ、さいの目に切った豆腐を入れて身だくさんスープにします。又、一晩置いてコールドスープにする方法もあります。



◆様々情報

前回話題提供頂いた湧田さんからご親戚のピアニスト「原田英代」さんの紹介です。

原田英代のピアノを聴きに行きませんか?・・・湧田加代子

《Ryuの目・Ⅱーno18》に徳山さんの”音楽は至福のとき”の記事もあり、vivantの愛読者には音楽愛好家が多いように感じています。そこで、私の親戚にあたるピアニスト”原
田英代”の紹介をさせて頂きたいと思います。
原田英代は現在はドイツ在住のピアニストですが、以前はウイーンに在住し演奏活
動をしていました。最近は日本での演奏会の機会も多くなり、演奏も高評のようですので是非多くの方にピアノ演奏を聴いて頂きたいと思っています。

原田英代プロフィール
山口県防府市生まれ。東京芸術大学および同大学院で松浦豊明氏に師事した後、渡欧。シュトウットガルト国立音楽大学、ウイーン国立音楽大学を経て、モスクワ音楽院のヴィク
トール・メルジャーノフ教授の愛弟子として研鑽。
 ・1984ジュネーヴ国際音楽コンクール 最高位
 ・1985年N響「若い芽のコンサート」で日本デビュー
・1991年シューベルト国際ピアノ・コンクール(ドイツ)第1位
      ウイーン現代音楽コンクール 第2位
 ・1993年第1回ラフマニノフ国際ピアノ・コンクール(モスクワ)入賞(西側参加者で唯一人)
  「最も良くラフマニノフを表現したピアニスト」として2つの特別賞も受賞これ迄に多くのオーケストラと協演し、海外の音楽祭への出演も数多くあります。

最近は、1年に2回の割合で5年計画の”シューベルト・ツイクルス”を企画し、2003年2月8日第1回を開催しました。今年は4月2日浜離宮朝日ホールで第3回の演奏会を開き、
ベルリン国立歌劇場バリトンのローマン・トレーケルとの「美しい水車小屋の娘」を演奏し高評を博しました。この演奏の高評は新聞記事でみられた方もあるかと思います。ローマン・トレーケルとの”シューベルト・ツイクルス”第5回は「冬の旅」の演奏で、平成17年6月15日 東京オペラシティコンサートホールで開催されます。

今年のこれからの演奏会予定
  2004年8月15日 大田区民ホール アプリコ
             ”ラフマニノフピアノ協奏曲 第2番”
             東京ユニフィル管弦楽団と協演
  2004年11月12日 防府 アスピラート音楽ホール
  2004年11月17日 神戸 松方ホール
  2004年11月30日 東京 浜離宮朝日ホール    
 お住まいがお近くの方は、是非足をお運び下さい。
CD録音は、昨年リリースした「原田英代プレイズショパンスクリャービン」(フォンテック・FOCD-20033)は高評で、私いつも聞いていますが情感があり、聴いていて気持ちが豊
かになり気に入っています。シューベルトショパンラフマニノフの演奏に定評があり、CDも出ています。