★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.14

◆今月の風 : 話題の提供は 匿名希望 のR.E さんです。


はじめまして。コンサルティング業に従事しているものでございます。いつも「Ryuの目」を拝読しております。
 
さて、今回、住宅を「お金」の面から考えてみませんか?ということで、メールをお送りしました。マイホームは人生にとって大きな買い物であり、皆さんが夢を描く一方、住宅資金をどうするかに悩み、苦労の末、ようやく手に入れる、といった方々がほとんどだと思います。その住宅資金を公的な立場でフォローしてきたのが住宅金融公庫です。この住宅金融公庫は、政策的に融資を止める方向にありまして住宅ローンは、今まで以上に民間金融機関にゆだねる方向になっています。その民間ローンを買い取って、証券化し、投資家に証券を販売するというのが、今後の住宅金融公庫の役目となっていきます。
これまでの日本の政策当局は、住宅取得を推進する立場にありましたが少子高齢化を迎えている日本において、今までのように住宅取得だけではうまくいかなくなってきます。今まで住宅ローンをせっせと払ってきたのはいいが、年齢を重ねていくにしたがい、退職後の生活資金をどうするかというのが問題になってきます。年金制度もほとんど機能していかなくなっていく日本の状況を考えると購入した住宅(=資産)を何らかの形でCash(=現金化)する方法を提示していかないと老後の資金をどのように確保するかが問題となってくると思っています。
日本の政策当局も、これまで以上に国民に自助努力をうながす政策になろうとしています。そこで考えられている仕組みが「リバースモーゲージ」です。簡単に申し上げれば、今ある住宅を担保に金融機関が生活資金を融資する仕組み・商品です。つまり、住宅を処分せずに、今の家に住みながら資金を確保するといったものです。借りた資金をどのように返すかというと、もし「宝くじ」など(笑)で資金が確保されれば返済すればいいですし、あるいは亡くなってから返済するということも可能です。
武蔵野市が最初に制度化しましたが、いままではバブル崩壊の影響で土地の価格が下落し続けていたため、なかなか浸透しなかったようですが世の中の環境が変わり、生活の不安もでてきている状況を考えると資金を確保するための選択肢の一つとして、必要になってくるのではないかと思っている次第です。              R.E
 


◆今月の隆眼−古磯隆生


−伊豆・利島にて−

先日、伊豆諸島(神津島、利島、大島)を足早に巡ってきました。島にはそれぞれ特徴がありますが、利島(としま)ではとても気持ちのいい時間をほんの僅かですが過ごすことができました。
直径2.4kmほどの円錐状のこの島の特徴は何と言っても集落の景観と島全体を覆ってる段々状の椿畑にあります。集落景観を決定的に決定づけている要素は海辺で取れる玉石を積んで作り上げられた沿道の土留めで、これが道に様々な表情を与えてます。時間経過を感じさせる苔むしたものもあれば存在感のある黒色の塊を見せるものもあります。陽が当たればその壁面はリズミカルな陰影をつくり出します。勾配のある曲がりくねった道ではこの石積みによってよりうねりが強調され、視界のダイナミックな移り変わりが楽しめます。そしてこの玉石に呼応するかのように椿の木が覆い被さりこの島の風景を特徴づけています。このようにして起伏に富んだ斜面地に巧みに構築された集落は視界の変化を演出し、都会から来た観光者に島の魅力を存分に見せつけてくれるのです。しかし一方で、島の人々にとってこの自然の素材を利用したすばらしい景観はごく日常であって、島の貴重な財産であることに気をとめようとはしていません。
この島でのもう一つの貴重な体験は“眠っている体の感覚の呼び覚まし” を覚えたことでした。呼び覚ましてくれる要素は都会の環境から失われたものばかりでした。足に実に気持ちいいやわらかい“土”がありました。様々な小鳥の“囀り”がありました。森林浴に最適の“段々状の椿畑 ”がありました。平行感覚を蘇生させる“斜面(大地の傾き)”がありました。そして“青い海”と“ひとの 素朴さ”がありました。人間にやさしい環境です。