★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.8

◆今月の風 : 話題の提供は雅子ケラーさんです。


−ダイヤモンドの話し−

ダイヤモンドの値段ってなぜこんなに高いのでしょう?
面白みの無い無色透明、電子顕微鏡的サイズ−これは何の予備知識も無く,漠然とした期待感ばかりあった私のダイヤを最初に手にした時の印象でした。正直言って、がっかりしたのです。その後ダイヤモンドについて専門的に勉強してゆくにつれて、その”波瀾に富んだ生立ちと比類無き特性”の魅力に引付けられてしまったのですから不思議です。
組成元素である炭素が自然において結晶するには、地表下二百キロメートルあたり、そこからホスト役のキンバーライト鉱という岩石が、”上り専用エレベーター”であるマグマに一緒に乗っかって地表近くまで届けてくれるのだと言われています。
私達の使う鉛筆の芯は実はダイヤのなりそこない、両者の元素は同じでも、ダイヤの方は深遠で、しかも非常なプレッシャ−がかかったため、炭素の原子ががっちりと組み合わさり、万物中最高の硬度保持者となったわけです。 ともかくも南アフリカのダイヤモンド鉱山辺りへ行けば、足下にもうクリスタルがゴロゴロしているのではー!?と心はわくわくし、果ては”見つけた分だけお持ち帰り、但し、お一人様10カラットまで−”というダイヤモンドピックのコーナーまで期待したくなりますが…実は1カラット(0.2グラム)の原石を掘り当てるには、平均5トンものキンバーライト鉱を堀り出しフルイにかけるという気の遠くなるような作業が必要です。しかもやっと見つかったこの原石が人の手でブリリアンカットに仕上がる頃には、もとの大きさの半分以下になってしまうのですから、これ又溜息が出てしまいます。
こうして宝石となったダイヤモンドの品質は普通、カラット、カラ−、クラリティ−、カットの良し悪しに左右されます。宝石店等でこれを説明されるとやたら英語のアルファベットばかり並べられて、ピンと来るどころか、一種の不安感すら感じても無理はないでしょう。無色透明のダイヤのどこがカラーなのでしょうか。 どうして2カラットの石の値段は、1カラットの石の2倍ではなく3倍以上もするのでしょうか。 目につくキズと、目につかないキズの間に6段階ものクラリティ−に寄る価格の差があるなんて解せないー。 それよりも何よりも、実はダイヤモンドの価値と魅力はあの深く緻密な輝きにあるようです。
天下無比の硬度と高い屈折率をもつその結晶が、最も理想的なシンメトリーとバランスで58面体にカットされた時にだけ、光が輝きという方法で無機物の石にも”生”をもたらしてくれるのだとしたらー!
プリズムのように分散して輝く虹色のファイヤー、夜空の星のように白くきらめくスパークル、石の内面から発光して全体を明るく輝かせるブリリアンスーこの三種の光が同時に発揮され、一体となって強く美しく輝く事のできる物は天然においてダイヤモンド以外無いでしょう。
また、元素のミックススープ、マグマの中で生れ、何億年もの間地球の絶えまない地殻変動に絶えてきたというからには、カット工場で超音波や、酸、塩酸のお風呂に浸かっても平気なわけです。何しろウルトラ級の切り札を何枚も持っているようなもの、どうしてもエキサイトしないではいられません。
しかし諺に’玉縻かざれば光無し’とあるように、ダイヤの原石も事実何の変哲もない石コロに見えるのです。但しその”一見ガラス玉”の中には、熟練した研磨師にかかると改めて、その秘密が全て明らかになるやもーという魔法のような可能性がひそんでいるのですが。
でも完璧にカットされ研かれたダイヤモンドなど一体存在するのでしょうか。永久的と信じられるほど完全なダイヤモンドの素質に対して、人間の審美感や技術はそうではあり得ないからです。 それが故に大昔から多くの人がダイヤモンドに神秘を感じ、夢や愛を託し今もなお、より美しい輝きを求め永遠に憧れ続けるのでは…。
 Diamonds are-ALMOST forever..... 



◆今月の隆眼−古磯隆生

− まちの中の四季・その2…桜の紅葉 −

日頃あまり行かないところを散策していますと思いがけない発見をしますが、こんなことがきっかけになって自分のまちを知り、興味を抱いていく、そして身の回りの環境を見直してみることになる…そんな風に展開されてゆけばと思うのですが。
さて、三鷹市域を散策していて気付いたことは欅と桜の多いことです。どちらも広範囲に植生する樹木ですから、この地域の特有というわけではないのですが、やはり目につきます。個人的な嗜好としてはこれまでどちらかといえば欅の姿・新緑・紅葉に惹きつけられ気味で、花見の時期以外は桜にあまり目を遣ることがなかったのですが、昨秋の散策で桜の紅葉のすばらしさに思わず唸ってしまいました。欅とは違った華やかな色づきがそこにはあり、一際艶やかでした。年によって色づき具合は様々でしょうが、こんなにすばらしく紅葉するとは…桜はもっぱら春の代名詞で、紅葉を誇る樹木には名を連ねるものとは思っていませんでしたのでこれは驚きでした。花に劣らず紅葉も‘買い’といったところ。(因みに生物学的には春は成長繁茂の‘食の相’、秋は開花結実の‘性の相’と呼ぶのだそうです。)
身近なところにこんなすばらしい紅葉を見せる桜の大木を発見でき何となく嬉しい気分にさせてくれました。この秋には是非、桜の紅葉をエンジョイしてみて下さい
皆さんお住まいの街の中の四季についてお便り下さい。