★ Ryu の 目 ☆ no.4

◆今月の隆眼 = 五感 =

人の五感と住環境あるいは居住性との問題を扱ってみたいと思います。《三鷹市民プラン21会議》の活動の中で、私は、「五感による居住環境評価」をしてみたらどうかと言うことを提案しました。五感は主観性が強いので、一般解として述べにくいのは勿論ですが、居住者が自分の居住環境に対して持ちうる住環境評価の手だてになり得ないかと考えたからです。若干のフィールドワークをして感じたことは、居住環境を見渡すとき“視覚”に関する反応が圧倒的に多いと言う点です。裏を返せば、視覚偏重で、視覚以外の五感要素が少なすぎる(あるいは、視覚以外の要素に対してあまり関心がいかない)のではないかとも思えます。やはり居住環境としては地域のもつ特徴と五感のバランスを考慮する必要がありそうです。また、人によって極端に違った反応をするわけではないことは感じました。気持ちよく感じたところや目立つ場所(もの)等は共通するもののようです。ですから、やり方によっては少し一般化できる可能性があるのかなと思いました。
五感の刺激はわれわれの住まいや周りの環境をより豊かなものにステップアップするには欠かせない問題だと感じています。利便性だけが都市のアメニティを向上させるものではありません。視覚にたよった居住環境や居住性との応答ではなく、五感を使った応答が求められるのではないでしょうか。身体性、身体感覚の回復、復活こそが急がれてるように思います。今後、折を見て触覚、視覚、嗅覚、聴覚、味覚(可能であれば?)を個別に述べてみたいと考えます。


◆通りすがり = ローコスト木造住宅 =

昨年、NHKの<クローズアップ現代>で、住宅メーカーがローコスト木造住宅の建設に取りかかったことをとりあげていました。ローコストにする要因としては、柱、梁に集成材を使用し、建築金物を使って柱と梁を接合するもので、仕上げ材や器具、キッチンセットなどは選択できず、指定されたものを使用する事によってコストダウンを図るとのことでした。
先日、このような構法の住宅を見てきました。木造というよりもむしろ鉄骨造に近いと思いました。従来の木造はムク材(無垢材)の柱・梁による柔構造を前提にしてますが、集成材を使った構造はむしろ鉄骨の剛構造に近く、鉄骨の柱や梁の代わりに集成材を使用し、結露などの問題をクリアしていると思いました。
木材の伐採による環境への影響や資源の有効使用、化学有害物質の増加、高温多湿な日本の環境で接着剤による集成材の経年変化、等々、メリットや課題はそれぞれの構法にいくつかありますが、ローコストに関しては従来の構法と明らかに違う省力化が図られています。コンクリート造、鉄骨造、在来木造、集成材構法のどれを選択すべきかは、情報に不十分な点はありますが、常に一長一短があるわけですから、何に価値を(勿論、予算の問題もありますが)見い出すかが基準になると思われます。