★ Ryu の 目・Ⅱ☆ no.123

早、三月になりました。
じっと待っていた春がそこまで来ました。
今年の冬は例年になく寒かったので、待ち遠しさも一入の感があります。
枯葉や枯れ草に覆われてた地面から緑がのぞき始め、福寿草が花を
開きました(写真貼付)。
“あたりまえ”と思っていることが“あたりまえ”に訪れることに安堵します。

明日は3.11。
東日本大震災から丸2年が経ちました。
様々に露呈した問題を風化させてはならない。
復興は急ぐあまりのお上からの押しつけではなく、
当事者の了解を重ねながらまちづくりを進めてもらいたい。
制御不能が露呈した原発を、安部政権は再び稼働に舵を切りました。
脱原発の思いはどこえやら。
使用済み核燃料の処理未解決を含め、将来に禍根を残す。

原発再稼働、軍隊、憲法改正…右傾化を強める日本の政治。

では《Ryuの目・Ⅱ−no.123》をお楽しみ下さい。

◆今月の風 : 話題の提供は田邊むつみさんです。
        昨年末より2ヶ月近く小笠原に滞在されたとのことです。

−小笠原固有種と外来種

小笠原諸島が、世界自然遺産登録は2011年6月ですが、登録出来たのは固有種が多く(特にカタツムリの種類がすごく多く日本にいる800種類のうち100種が小笠原固有種だそうです)、また、その保護活動が盛んだということが認められ登録されたそうです。
小笠原の固有種は余りにも多く(植物で124種)、個々に御紹介出来ませんが、ネットで見るといろいろ紹介されていますので、興味のある方は見てください。昔から陸続きになったことなく、独特の進化をして固有種が生まれ『東洋のガラパゴス』と呼ばれる所以だそうです。但し、カタツムリ類を除く動物の固有種は極端に少ないです。
小笠原の動植物はガラパゴス同様に外敵に脅かされることなく、島の特性に合わせて進化したそうです。一般的には退化と見なされることも生物学上は進化の一部だそうで、わかり易いところでは本来棘のある山椒の仲間にトゲがなくなり、蜂の中には毒のない種類がいたりするそうです。

また蜂より比率的に蝶類が少ないので、蝶類にわかり易い綺麗な色の大きな花は減り、蜂にわかり易い花の匂いが多くなり色は必要が薄くなり白の小さな花が残っていったそうです。固有種はほとんどが目立たない白い小花ですが、テリハマボウ(島名=イチビ:アオイ科)だけは薄黄色で夕方にはオレンジ色になる一日花で目立ちます。
この島で、大きくカラフルで目立つ花は人間が観賞用に植えた外来種のハイビスカス、ブーゲンビリア月桃デイゴ鳳凰の木etc.です。固有種の保護のために島ではいろいろ予算を組み、害を及ぼす外来種を排除する努力をしています。
野山羊駆除(植物類の保護)、野ネコ捕獲(鳥類の保護)、グリーンアノール=外来種:カメレオンのような色が変わるトカゲ(虫類の保護)の捕獲駆除、アカギ:超侵略的繁殖の外来種の薬剤注入による枯死(植物の保護)など熱心に行われています。

問題視されながら駆除まで手が回らなく増え続けている外来種のモクマオウや琉球松(共に薪材として植林)、ギンネム(トーチカを隠す)ですが、最初は人間が目的をもって持ち込んだものが強すぎて増え続けているに過ぎないのですが・・・・人類の都合で、丈夫でその土地にあったものと植えたものが、時代が流れ、生活が進歩して不用になり放置され、しかし強いので今になって、固有種が絶滅すると邪魔者扱いされているのが、ここの外来種に多くみられます。どこの社会でもある勝手な自己都合のパターンです。
今度固有種でも増えすぎて他の固有種がダメになったらその固有種も排除されるのでしょうかね〜。

−固有種に思う−

自然保護や観光資源の観点からいえばとんでもない!と言うことになりますが、最近、保護による努力が実ってレッドデータの絶滅危惧種が増えてきています。植物はまだ直接的被害はありませんが動物(オガサワラオオコウモリアカガシラカラスバトなど)は天敵が減った為保護種の方が増えてきて、今度は保護種による農作物の被害が増えています。今のところ、農業従事者が少数なため、被害に対する苦情は大きくなっていませんが、現実には今後の課題になります。

ここでは、観光資源であるクジラ、イルカ、オオコウモリ、アカガシラカラスバトメグロなどを、少数派の漁業や農業に携わるものは『邪魔だ!』『嫌いだ!』とは言えず、『そんなこと言ったら大変!』な状況です。小笠原は本来捕鯨基地で有人化した島ですが、海洋資源を守る為にクジラ、イルカの禁漁、他の魚の島周辺の保護海域も年々拡げているので、漁業はクジラやイルカは居て欲しくなく、船は沿岸ではなく遠くまで行っているようです。東京都亜熱帯農業センターの農場も野山羊だけでなく、野猫が減って増えたクマネズミ、野ネズミや保護で増えたオオコウモリなどの動物被害が多いそうです。農業センター(オオコウモリの生息地が近い)では木々ごとにコウモリのペレット(糞)の数を調査中です。

昨今、固有種虫類保護から除去対象のグリーンアノールは数が増えすぎて、すでに小笠原の虫類を食べ尽きて共喰いを始めて数は増えなくなったという話を聞きました。余談ですがグリーンアノールが昼行性の為、夜行性の害虫「ヨトウ虫」は昼は土中にいるのでアノールに食べられずに結構農作物被害はあります(笑)無人島時代まで残っていた固有種は、大陸と繋がらずに太古の時代から長い年月に自然淘汰されて生き残り、独自の進化を遂げた強い「種」のはずです。

まだ問題視されてない固有種以外の自生種(植物で309種)も原生林に多数ありますが、意識的に人間が持ち込んだものが多いですが、外に漂流船の残骸について漂着したもの、海流に乗って来たもの、鳥類に運ばれたものなどで広がったようです。

野山羊でさえ船で飼っていたのが漂着して人間が家畜として連れてきたものより早いのでは?とも言われてます。参考までに前記に重なりますが、植物の固有種124種、自生種309種、外来種319種だそうです(ビジターセンター資料)。グリーンアノールはペット説以外に占領時のアメリカの物資のコンテナについてきた
説もあり、大きい目で見れば、有人島で居住区があり、外部との交流がありながら『固有種保護』と言うには無理が伴い、莫大な費用が掛かるということだと思います。

現在、環境保護地域に入る際は、靴底の酢酸散布、衣類のコロコロで侵入予防していますが、島への動植物の持込み禁止の話はないので、人の倫理観に任せるしかないのだと思います。

私の想像ですが、昔は風土病のようなものもあったのでしょうが、人間に不都合で人工淘汰しているのかもしれません。人の行き来は多少あっても半隔離されたこの島は、この冬のインフルエンザもノロも流行らなかったようです。


◆今月の隆眼−古磯隆生(http://www.jade.dti.ne.jp/~vivant

−移住生活・その10−

3月に入り、急に春を実感する日々になりました。例年になく寒かった冬はどこに行ってしまったのかとさえ思いますが、季節が巡る“あたりまえ”にホッとします。
さて、今回は移住生活の経済的側面について少し話してみます。移住を考えてらっしゃる方には多少は参考になるかも知れません。
自然な環境を求めることが移住の第一のポイントですが、移住生活の中でもう一つ重要なポイントは、「田舎暮らし」はお金がかからないということです。勿論、生活の仕方にもよるわけですから一概には言えませんが、まず、都会的便利さを求めないことを前提に、“節約精神でシンプルな生活”を心がけるとすればかかりません。ネオンの光が恋しいとか、買い物が面白いといったことは最早あまり気になりませんし、寧ろ、自然の変化の方に余程の刺激を受けると言った方がいいでしょうか。2年前の大地震は、それまでの生活のあり方、考え方を再考させる機会を与えました。身近では節電の感覚でしょうが、本当は生き方のスタイルの問題です。

通常の主な支出対象は水光熱費、食費、ガソリン代、などになります。水光熱費は水、電気、プロパンガス、灯油が主な対象です。
水は市の水道料金が安い上、何と言っても家から数分のところにある尾白の名水(日本名水百選の尾白川の水脈…甲斐駒ヶ岳が源)が無料で汲めますので、料理や飲料用にはそれを汲んでストックして使用します。結構遠くからも汲みに来ています。水は本当にいい!
ついでに紹介しますと、毎日望む「甲斐駒ヶ岳」は日本百名山日本百景のひとつ、近くにある「台が原宿…旧甲州街道」は日本の道百選のひとつです。

電気は東電エリアですから、これはあまり東京時代と変わりませんが節電を心がけます。ガスはプロパン(定期的に供給してもらいます)ですから都市ガスに比べれば割高かも知れませんが、使用量の問題です。料理や給湯用に使いますが、お風呂は近くの温泉(尾白の湯…源泉がいい:市民は300円)に行きますので、給湯用としては台所以外はシャワーくらいのものです。灯油は冬の床暖房に使いますが、それほど床暖房に頼ってるわけではなく、一日の内の早朝の3時間程度です。夕方はストーブ(以前紹介した愛称“みにくいアヒルの子”)を使用しますが、薪の使用量は少ない方でしょう。床暖房とストーブの使い分けをしています。ストーブ用の薪の調達は近所の方から安く供給してもらってますので、業者からの購入に比べればかなり安いはずです。既に来年分も確保出来ました。昼間は差し込む太陽光で部屋の中は暖かくなりますので暖房は一切使いません(冬至の時に部屋の奥まで陽が差すように軒の出と窓の高さを考えて設計しました)。室内は吹き抜けの空間で、ワンルームの様な造りにしていますので、全体が暖かくなります。

食費はかからない。食材としては野菜、肉、魚の入手に全く問題ありません。地元の野菜類は安いし、時々近所の農家の方が分けてもくれます。そして何と言っても自己調達…畑での栽培です。これには面白さが加わりますから、費用以上の刺激効果があります。畑をいじっていると感覚が活性化します。肉魚は問題なく手に入れられますし、値段も安い。当初心配していた魚は主に新潟から入ってきます。流通ネットワークの整備により種類もあり、値段も東京よりは安い。

基本的には地産地消がモットーの生活ですから、通常の生活以外での贈答品などにも地元ものを考えます。ワイン、日本酒、肉類、和菓子が地元のお勧め品です。
こちらでの交通手段は車がメインですからガソリン代がかかりますが、都会でのバスや電車の運賃に比べれば遙かに安いと思います。単純に、今の白州から以前住んでいた吉祥寺まで、一般道を車で行く場合の往復燃料費は3千数百円程度(往復300km程度)。各駅停車の列車で往復すれば4千5百円程度です。因みに、東京までは3時間程もあれば着きますから、用事のある時は出かければ済みます。東京に出かけると全くの消費社会を実感しますが、交通費のかかり方には驚きます。
私の場合、創作活動は一生続くわけですが、段々と収入が減ってくる身にとっては、生活費が掛からないことは重要なことです。
最近、若い夫婦が移住してきて農業を始めているのを見かけますが、都会に比べて安く生活出来るから可能なのでしょう。尤も、行政が福祉関係に充てる予算は少ないかも知れません。ここは問題ですね。
「便利さを求めない」、「贅沢はしない」、「物を大事にする」がキーワードでしょうか。


◆今月の山中事情83回−榎本久・宇ぜん亭主

−化粧−

ほとほと女性は大儀だと思う。化粧のことだ。僕が子供の頃の母はどうも化粧らしいほどの化粧はしていなかったと思う。ならばおそらく、貧乏ゆえ化粧に費やす金があったらお腹を空かしてひもじい思いをしている僕等の食べ物の費用に廻っていたからかもしれない。
時は高度経済成長期となった。見る見る世の中が変わって行く。化粧品メーカーも熾烈な戦いの幕が降ろされた。女優のごとく、店員も、女工も、お手伝いさんも化粧することが当然のように仕向ける為だ。化粧品メーカーの「インボウ」は家事労働から解放された女性をターゲットにし、先ず都会の女性の華やかさを時代の先端のテレビを通じ、全国津々浦々にコマーシャルした。そのことによって一人一人の女性が自分もそうなれると思ったかは本人に聞く以外知りようがないが、当時はそれだけで充分コトが足りたようだ。
次に僕が申し上げたいのは、いくら家事労働が軽減されたとは言え、おのれの顔ひとつに一時間もの時間を費やすことの大儀だ。念入りにおのれの顔と格闘したその化粧品を夜ともなれば数分で洗い落とす愚の繰り返しのこと自体「ソーダイ」なる無駄をしているようで嘆いている。今とは状況が全く違っていた僕等の青年期では、化粧をそれほど意識していなかった。それゆえ施された女性の顔を見た時は、一種騙された気分になったものだ。
会社は、時代の「スウセイ」とか、社会の「セイジュク」とかと理由をつけてはいるが、女心をくすぐりずいぶんと儲けているようだ。依って、この「ソーダイ」な無駄を、笑いをこらえて提供している化粧品会社の「勝ち」となり、女性ががこの世に存在する限り社会の安泰は続くのであります。年少者が社会に巣立つ季節になりました。この風潮(身だしなみとか)に率先して手を染め。餌食になるようです。
先ほど、塗るコマーシャルが流れたあと落とすコマーシャルが流れました。
いやはや…。

宇ぜんホームページ
  http://www012.upp.so-net.ne.jp/mtd/uzen/